キレイをつくる保健室
「キレイになりたい。けど、それはヒロのためじゃない」
キレイなヒロにドキドキしていた。
今も。
繊細な指使いで、あたしの頬から耳を触る。
いつも豹の如く柔らかく、しなやかにあたしに近づきドキドキさせる。
ヒロ。
「止めて」
あたしに伸ばされたヒロの手をあたしは押し返す。
「触らないで」
「ナミ…」
ヒロの目に涙が浮かぶ。
「許してよ……」
ヒロの哀願は、あたしを怒らせるばかりだ。
あたしは、黙って家のドアを開けて荒々しくドアを閉めた。