あなただけ

「あ、うん。いってらっしゃい。」


「じゃぁ、また後で。」


そう言って校庭を走っていく春登。


桜の木の下には、私と・・・恵が残された。


すごく気まづい・・・。何を話していいのかもわからず


私は黙り込んだ。恵も、しばらくは何も言わなかった。


このまま昼休みが終わるのかと思った時。


「なぁ・・・」


「え?・・・な、なに?」


「・・・昨日はごめん。キレてもうて。」


まさか謝られるとは思わなくて、口を開けたまま


返事をしなかった私。しなかったんじゃなくて


できなかっただけなんだけど。

< 111 / 287 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop