あなただけ
「あ、うん。いってらっしゃい。」
「じゃぁ、また後で。」
そう言って校庭を走っていく春登。
桜の木の下には、私と・・・恵が残された。
すごく気まづい・・・。何を話していいのかもわからず
私は黙り込んだ。恵も、しばらくは何も言わなかった。
このまま昼休みが終わるのかと思った時。
「なぁ・・・」
「え?・・・な、なに?」
「・・・昨日はごめん。キレてもうて。」
まさか謝られるとは思わなくて、口を開けたまま
返事をしなかった私。しなかったんじゃなくて
できなかっただけなんだけど。