あなただけ
そこは真っ暗な世界に私がいた


私以外には動物も植物も


ましてや人間も、何もない


ただ、ずっと先まで真っ暗で


歩こうとしても体が動かない


体が石になってしまったみたいに全く動けない


それから、何の感情もない


悲しくもない、辛くもない、寂しくもない


嬉しくもない、幸せでもない、楽しくもない


でも、その時私の頬を温かいものが伝った


それは、涙だった


何の感情もないはずなのに・・・


一粒の涙が私の頬を静かに伝っていく


その時、やっと口が動いた


・・・恵・・・あい・・・たい


そのとき・・・一筋の光が私を包み込んだ
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