あなただけ
ますますほっぺが熱くなる私。
でも、春登くんの手を振りほどくことはできなくて。
力強く握られた右手。でも、優しい温かさが心地よかった。
だから・・・恥かしいけど、春登くんの左手を握り返した。
少し、人通りが多い道に出ても手は繋がれたままだった。
周りの人の目にドキドキしながら、やっと
私の家の前についた。
「春登くん、ありがとう。」
「あ、ここなんだね。こっちこそ
ずっと・・・手繋いだままで・・・。」
「うん・・・。恥かしかったけど、嬉しかった。」
「・・・嬉しかった?」
「うん。人の手ってこんなにも、優しくて温かいものなんだね。」