龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
親父は二十三日に帰国して、二十八日にわたしを迎えに来ると言っていた。


「わたしが家に帰るのを気にしているの? 四日にはここへ帰って来るのよ。ほんの少しじゃない」


圭吾さんは横目でチラッとわたしを見た。


「電話には僕が先に出ただろう?」


そうね

わたしはコクンとうなずいた。


「志鶴に電話を渡す前に釘を刺された」


釘って?


「この家で正月を迎えないかと誘ったんだ。そうしたら、うちで志鶴を預かっている事には感謝しているし、結婚にも反対じゃない。でも、志鶴はまだ若いから、僕から離れて将来を考える時間も必要だって」


そうか

家に帰るって事は、圭吾さんと離れる事なんだ。

久しぶりに親父に会えるのが嬉しくて、そこまで考えていなかった。


「僕の事、忘れていたんだろう?」

圭吾さんが言う。

拗ねているでもなく、怒っているでもなく、ただ事実を確認しているだけの淡々とした口調。


うーん……こういう時、何て言えばいいの?

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