龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
「ちゃんと圭吾さんの所に帰って来る」


すごく、すごく、真剣に言ったのに、圭吾さんはフッと微笑んだ。


「待っているよ」


まるで小さな子供に言っているみたい。

わたしは何か答を間違った?

家には帰らないって言えばよかったの?


「悩まなくていいよ」

圭吾さんはわたしの髪を撫でて言った。

「君は相手の気持ちを考え過ぎる。僕の気に入る答を探さなくてもいいんだ」


どうして?


「好きな人には笑顔でいて欲しいの」

「僕もだよ」

「じゃあ……」

「僕と志鶴の違う所は、僕は君のためを考えるが、君は僕の気持ちだけを考える事だ。わがままな僕に何もかも合わせる必要はないよ」


わたしは首を傾げて圭吾さんを見上げた。


「圭吾さんはわがままじゃないわ」

「ありがとう。そう言ってくれるのは君くらいだよ」


圭吾さんは頭を下げてわたしにキスしかけたけれど、途中で携帯電話の着信音に邪魔された。

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