龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
「電源を切っておけばよかった」

圭吾さんは苦笑した。


でも、あなたはそんな事はしない。

羽竜本家の当主という仕事を真剣に捉えているから。


圭吾さんは、わたしから離れて電話に出た。


わたしは、圭吾さんのお仕事が終わるまで黙って待つ。

――ほらね?

わたしだって圭吾さんのためになる事、ちゃんと考えてるの。

親父が心配しなくても、自分の気持ちくらい分かってる。

圭吾さんがやきもきしなくても、必ずあなたの元へ帰って来るわ。


圭吾さんが、電話をしながらわたしの方を見た。


なぁに?

わたしの話?


どうやら電話の相手は悟くんらしい。


「お前の考えも一理あるが、僕としては志鶴に決めさせたい」

圭吾さんが言っている。

「ああ、でもそのために僕がいるんだ」


どうしたんだろう?


圭吾さんは『じゃあ、後で』と電話を切った。

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