龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
前に龍の雛を見たケージには、白いバスタオルが敷かれていて、赤い龍ともトナカイともつかない生き物が横たわっている。


まるで眠っているみたい


翼は折りたたまれていたけれど、前に見た時よりも二回りくらい大きくなった気がする。


「大きくなった?」


「なりましたよ。先輩に言われて餌を切り替えたら、すごくミルクを飲むようになって。昨日は羽をバタバタと広げてちょっとだけ浮いたんですよ」


「それなら、どうして死んじゃったの?」


「専門家が見ても原因は分からないと思うよ」

圭吾さんが静かに言った。

「人は神様にはなれないと言われている気がするね」


「まったく、この子を造った人は何を考えていたんでしょうね」

美月の声は涙声だ。


その人は、サンタクロースのソリを夢見た、ただの愚かな夢想家だったのかもしれない。

夢は夢だから楽しいのに


「この子は? この子をどうするの?」

わたしの声が震えた。

嗚咽でとぎれとぎれの声は自分の声じゃないようだ。


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