龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
圭吾さんがわたしを後ろから抱きしめた。


「竜城(たつき)神社には龍の慰霊碑がある。そこに埋葬できるよ」


「ハクは? ママの龍もそこにいる?」


「今度、お父さんにきいてごらん。きっとどこかで眠っているんじゃないかな」


わたしは片手を伸ばして、小さくて奇妙な龍に触れた。

わたしを見上げて小さく鳴いた命は、ピクリとも動かない。


「さようなら、ルドルフ」

わたしはつぶやくように言った。

「ゆっくりお休み」


わたしを抱いた圭吾さんの腕に力がこもった。


圭吾さんが、自分でも『やり過ぎた』って言うくらい研究所を壊したのは、こうやって死んでいった命を見てしまったから?


わたしは振り向いて、圭吾さんの胸に顔を埋めた。

涙が次から次へと溢れてくる。


「もういいだろ?」

わたしの後ろで悟くんが言っている。

「こんなに泣かせて――圭吾の気が知れないよ。後は僕らで神社に納めるから、もう連れて帰れば?」

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