龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
「悪いけど、そうさせてもらった方がいいみたいだな」

圭吾さんがわたしの髪を撫でながら言った。


「だからダメだって言ったのに……しづ姫は他の女の子と違って、デリケートなんだから」


悟くんはそう思っているの?

もしかして、圭吾さんも?


わたしは今までずっと、自分が強い人間だと思っていた。

でも違う

わたしの強さは、ただ単に心を閉ざして、大切なものを持たない事で作り上げた偽りの強さだ。


本当の強さは、泣かない事じゃない

一人で何でもできる事じゃない

美月が持っているような強さだ。


傷つく事を恐れずに、前を向いて生きて行く強さだ。


それは一人だけで作られるものじゃなくて、ここにいる人達に支えられてできている。


「わたしもデリケートですよ」

美月が不満げに言った。


「もちろんだよ」

悟くんが如才なく言う。


ううん、美月

あんたはバズーカで吹き飛ばしても壊れない、鉄壁のバリケードよ

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