龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
「必ず帰って来るって言って」

「必ず帰ってくるわ」


圭吾さんは、手の平でわたしの口を軽く塞ぐと、何かささやいた。


「上へ行こう」

圭吾さんがニッコリと微笑む


へっ?


「心配しなくてもいい。お許しも出ないみたいだし、話しをするだけでいいよ」


待って

何か騙された気がする。


「圭吾さん、今のは何?」


「ちょっとしたおまじないだよ。君がちゃんと帰って来るようにね」

圭吾さんは楽しそうに答えた。


やられた

圭吾さんのやる事が『ちょっとしたおまじない』な訳ないでしょ!


「いいじゃないか」

圭吾さんはわたしを部屋の外に連れ出しながら言った。

「志鶴には何の害もない。僕は安心できる。それだけだよ」

< 118 / 120 >

この作品をシェア

pagetop