龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
わたし、丸め込みまれてる――絶対

釈然としない気持ちを抱きながら寝たせいだろうか、夜中にふっと目が覚めて眠れなくなった。


お水、飲んで来ようかな


眠りの浅い圭吾さんが珍しく目を覚まさない。

わたしは暗闇の中、ぐっすり眠っている横顔を見つめた。


「大好き」

そっとささやいて、わたしはベッドから離れた。


寝室のドアを開けながら、わたしは不意に奇妙な感覚にとらわれた。

何だろう? 何かいつもと違う気がする。


そして――

もしもサンタクロースと会えたらって、確かに子供の頃にはそう思った。

でも実際、自分の家のクリスマスツリーの側に、赤い服を着た見知らぬ外国人のおじいさんがいたら……驚くなんてものじゃない。

悲鳴を飲み込んだわたしを見て、サンタクロース(たぶん)は首をひねった。


「この格好で合っていると思ったのだが」


合っているって、何?


「クリスマスとやらには少し早いが、婚約祝いの贈り物を持って来たぞ」


へっ?


「姫や、我が一族へようこそ。死せし者を返す事は出来ぬが、八年分のそなたの願いに応えよう」

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