龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
「じゃ、下手でもいいよ。ゆっくりでいいから言ってごらん?」

「今年はね、ライトと、雪にする綿と、飾りは三つだけなの」

「三つ?」

「てっぺんのお星様と、圭吾さんが一つ選んだのと、わたしが一つ選んだのと」

「それで?」

「来年は、二つよ」

「ああ……僕のが一つ、君のが一つ?」


圭吾さんは分かってくれてる。

少し気が楽になった。


「でね、結婚するでしょ? そしたら赤ちゃんの分も増えるの」

「僕の分が一つ、君の分が一つ、赤ちゃんの分が一つ」

「その子がちょっと大きくなったら、きっと変な飾りを作るわ」

「へたっぴぃな飾りをね。それも吊るすんだ?」

「そう。そうなの!」


圭吾さんはひざまずいたまま、わたしの膝に頭を乗せた。


「志鶴は家族がほしいんだね」

圭吾さんの声が妙に寂しそうに聞こえた。


「そうよ。圭吾さんもでしょ?」

じゃなきゃ結婚を申し込んだりしないわよね?


「まあね」

圭吾さんは顔をあげた。

< 18 / 120 >

この作品をシェア

pagetop