龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
「志鶴様?」


塀の内側から顔を出したのは、羽竜家の敷地を管理してるおじさんだった。


よかった!


「沢口さん、助けて。この人達、うちに入れてくれないの」


「困ります」

沢口さんが黒いスーツの男達に言った。

「この方は当家でお預かりしている大切なお嬢様です。無礼があってはご主人様の怒りに触れます」


「そういう事は事前に言ってくれなくては。こちらも警備の都合上、リストにない方を入れるわけにはいかないのです」


何の警備?


「お嬢さん、とりあえず名前と年齢と学校名と学年を教えてくれる?」


全然『とりあえず』じゃないんですけど


「ああ、それと写真も撮らせてもらうよ」


えっ? 何? どうして?


「お止め下さい!」


沢口さんが止めようとしたけれど、一人がデジタルカメラをわたしに向けた。


シャッター音が消えるか消えないかのうちに、手がスッと伸びてきて男の手からカメラを取り上げた。
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