龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
え―――――っ!


「聞いてないわよ、美幸」

亜由美が怒ったように言う。


「だって断った話だから」


「残念。僕、姉弟になるの期待してたのに」


「まだ高校生だもの。もっと恋愛したいし」


「相手は誰?」

亜由美が食い下がるようにきく。


「巧さん」


巧さん?

悟くんのすぐ上のお兄さんだ。


「ねぇ滝田、少し恋愛してからならいいわけ?」


「だいたい、巧さんだってまだ大学生じゃない」

美幸はブスッとふくれて言った。


「えーと、兄貴がちゃんと仕事について、滝田が二、三人 男をふったらOKってことだね? 兄貴に言っておくよ」


「言わなくていいっ! っていうか、この縁談、悟くんのお母さんの考えじゃないの?」


「僕の母は、要兄貴の嫁にって考えてたんだよ」

悟くんはニヤッと笑った。

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