龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
「それじゃ、おじゃまします」

玄関に上がって、脱いだ靴を揃える。


「先輩って躾いいですね」

美月が感心したように言って、自分の靴を揃えた。

「わたし、いつもは脱ぎっぱなしです」


わたしは思わず笑った。

「わたしも羽竜に来るまでは野放しだったのよ」

今ではすっかり和子さんの躾が身についてるようだ。


「その靴」

美月は男物の革靴を指差した。

「父のじゃない。誰か来てるのかなぁ?」


「司先生?」

「まだ学校でしょう?」

「そうよね」


「お帰りなさい、美月ちゃん。お友達?」

私たちの背後から優しい声がした。


「お姉ちゃん! やっぱり来てたんだ! 三田先輩だよ。今日は龍を見に来たの」

「えっ? あら! 志鶴さん?」

「こんにちは。おじゃまします」

「あら、まあ……どうしましょう! お母さん! 羽竜本家のお嬢さんがいらしたわよ」


いや……わたしは龍を見に来ただけだから

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