龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】

「そういう事は圭吾さんに直接おききになったら?」


「きいたさ。『あなたには関係ない』で終わり。一体、どこの家と手を結んだのか気になってしょうがない」

常盤さんは顔をしかめた。


「家ですか?」


「そう! 知っているかい?」


「圭吾さんは、政略結婚のような事はしません」


だって、わたしはただの女の子だもの


「乙女の幻想を壊して悪いんだけどね、大人の世界はそんなに甘いものではないんだよ、お嬢ちゃん」


大人の打算を壊して悪いんだけど、羽竜の家の勤めには家柄なんて何の役にも立たないわ、お兄さん


「わたしからお教えする事は何もありません」

わたしは笑顔で言った。


「もう、常盤さん!」

美月が常盤さんを押し返した。

「三田先輩は、わたしのお客様なんですってば!」


「三田? 君、羽竜姓じゃないの?」


「羽竜だと言った覚えはありませんけど。失礼します」


わたしは美月に引っ張られるようにしてその場を去った。

< 30 / 120 >

この作品をシェア

pagetop