龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
美月は、廊下の突き当たりにあるスチール製の白い扉の前で立ち止まった。

学校の防火扉に似ている。


「この向こうで龍を飼ってるんです――いよっと」

美月が扉を開けた。

「左側にサンダル置いてあるんで、使って下さい」


うわぁ


扉の向こうは天井の高い、ガラス張りの温室だった。


空を水平に切って、赤龍が美月の元に飛んできた。


「ただいま、ベニ」


龍が挨拶するように鼻を美月の髪に突っ込んだ。


「あんたって、根っからの龍好きね」


わたしが言うと、美月はニッコリと笑った。


「龍って人間の言葉が分かると思いませんか?」


「犬や猫よりは分かるみたいね」


「わたしはテレパシーがあるって思うんです」


「わたしもそう思う」

少しばかり考えてから、わたしは言った。


「そうでしょう? 先輩なら分かってくれると思いました!」

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