龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】

「えっ? でもほら翼があるんですよ」


美月は、折りたたまれているまだ華奢な翼を摘んで広げた。

確かにそれは赤龍の翼によく似ていた。


だけど、これはどう見たって……


「わたしが思うに、これは鹿の仲間じゃない?」


「いやですねぇ、先輩。鹿に翼はありませんよ」


「そうよね……でも、何か似てると思うの」

わたしは言葉を切って美月の顔を伺った。

この子に分かるかなぁ

「――トナカイに」


「トナカイ?」

美月は素っ頓狂な声を上げた。

「あの、サンタクロースのソリを引っ張る?」


わたしはうなずいた。


よかった

それくらいは知ってるわよね


「三田先輩、知らないんですか? トナカイの翼は鳥のように羽がついてるんですよ」


美月ぃ~

トナカイに翼はないのよぉ

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