龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
圭吾さんは、わたしを怒らない。
誰に聞いても怒りっぽいとか、気難し屋って言われてるのに、わたしには怒らない。
怒られるべき時に怒られないと、何だか後ろめたい。
おまけに優月さんのいる前で、こんな子供っぽい理由で注意されてるなんて最悪。
早く帰りたい
でも、玄関に出たところで、今度は美月のお父さんに捕まった。
「来客中だと伺ったので、このまま失礼しようと思っていたところです」
圭吾さんがそう言うと、美月のお父さんの後ろから、常盤さんが顔を出した。
「やあ、羽竜。先日は失礼したね」
「こちらこそお役に立てなくて申し訳ない」
圭吾さんがおっとりとした口調で答える。
「竜田川さんのところで君の顔を見るとは思わなかったよ」
「あなたが何を耳にしているかは知らないが、僕はこのお宅に何のわだかまりも持っていないよ」
「――のようだな」
常盤さんがわたしの方にチラッと目をやった。
途端に、圭吾さんがわたしを自分の後ろに隠した。
「君自身でわざわざ迎えに来るなんて、随分と大事にしているんだな」
「叔父からの大事な預かり物だからね。髪の毛一本たりとも傷つける訳にはいかないんだ」
誰に聞いても怒りっぽいとか、気難し屋って言われてるのに、わたしには怒らない。
怒られるべき時に怒られないと、何だか後ろめたい。
おまけに優月さんのいる前で、こんな子供っぽい理由で注意されてるなんて最悪。
早く帰りたい
でも、玄関に出たところで、今度は美月のお父さんに捕まった。
「来客中だと伺ったので、このまま失礼しようと思っていたところです」
圭吾さんがそう言うと、美月のお父さんの後ろから、常盤さんが顔を出した。
「やあ、羽竜。先日は失礼したね」
「こちらこそお役に立てなくて申し訳ない」
圭吾さんがおっとりとした口調で答える。
「竜田川さんのところで君の顔を見るとは思わなかったよ」
「あなたが何を耳にしているかは知らないが、僕はこのお宅に何のわだかまりも持っていないよ」
「――のようだな」
常盤さんがわたしの方にチラッと目をやった。
途端に、圭吾さんがわたしを自分の後ろに隠した。
「君自身でわざわざ迎えに来るなんて、随分と大事にしているんだな」
「叔父からの大事な預かり物だからね。髪の毛一本たりとも傷つける訳にはいかないんだ」