龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
「おい、羽竜――」


「今行く」

圭吾さんは男の人に手を挙げて合図をしてから、わたしに小声で言った。

「僕が先にあいつを連れていくから、少し後からお入り」


ああ、いつものね


圭吾さんはちょっとばかりヤキモチ妬きで、若い男の人にはわたしを会わせたがらない。


「勝手口から入ろうか?」


わたしが言うと、圭吾さんはものすごく顔をしかめた。


「志鶴は何があっても裏口から入ったりしてはダメだ。立場に合わない」


立場って……


そりゃ圭吾さんと結婚の約束をしているけど、わたしはまだ居候中の従妹なんだけどな


「入ったら真っ直ぐ部屋に行ってて」


はーい


――って、いつもいつも言いなりになると思ってるの?

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