龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】

次の朝、まだ薄暗いうちに目が覚めた。

いつものように、圭吾さんの腕がわたしを包み込んでいる。


温かい――と思った瞬間、昨夜の記憶が一気に蘇って、わたしはガバッと起き上がった。


「志鶴?」

眠りの浅い圭吾さんが、わたしの名を呼ぶ。


「トイレっ!」

わたしはベッドを飛び降りると、トイレに駆け込んだ。

鍵をかけて顔を覆う。

どうしよう

まともに圭吾さんと顔を合わせられる気がしない。


そうだ

このまま自分の部屋に戻ろう

二人っきりじゃなかったら少しは平気かも


わたしはトイレを出て、つま先立ちで静かに歩いた。


寝室の前を通り、居間を抜け、階段へのドアのノブに手をかける。


そおっと そおっと……


「どこへ行く気?」


背後から声をかけられて、わたしは飛び上がった。


「志鶴?」


「ちょっと部屋まで」

声が上ずる。

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