龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
「まずは調査することになったよ」

悟くんがわたしに向かって言った。


「どうやって?」

「圭吾とうちの巧兄貴が、施設を見学に行く。巧兄貴は施設存続派、圭吾は反対派としてね」

「巧さんって、あの研究施設の存続に賛成なの?」


わたしがきくと悟くんは笑った。


「分かってないね。フェイクだよ。羽竜一族は当主の決定には異を唱えない」

「圭吾さんが間違っても?」

「間違ってもだ。当主の責任はそれくらい重い」


それじゃ、圭吾さんがかわいそう


「だからこそ、圭吾にはしづ姫が必要なんだよ」

「わたしに何が出来るの?」

「ただそこにいればいい」


それだけ?


「何の事か見当もつかないけど」

亜由美が悟くんに言った。

「羽竜の仕事にあんたも参加なの?」


「僕は最近、圭吾の右腕と目されているんだ――ていのいい使いっ走りってことだけどね」

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