龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
そうね

わたしの子守役って事を抜きにしても、圭吾さんは悟くんをよく呼び出す。

信頼しているんだと思う。


「それと、しづ姫。昨日は僕の忠告を無視して、圭吾に連絡を入れなかったんだって?」


う……


「ちょっと忘れたの……」

「ちょっとねぇ」

「圭吾さん、悟くんに電話したんでしょ?」

「違うよ」


違う?


「あのさぁ、羽竜の土地にいる限り、圭吾がその気になれば、しづ姫がどこにいるかなんてすぐ分かるんだよ。でも、圭吾はなるべく君に普通に接しようとしている。あいつの努力を無駄にするな」

悟くんはわたしのお皿からミニトマトをつまんで食べた。

「『特別』っていうのは回りが思うほどよくはないんだ。なぁ、滝田?」


「えっ! 何でわたしに振るのよ」

美幸が慌てて言った。

「まあね。わたしも自分の能力が無かったらな、と思う時はあるわよ」


美幸は人に見えないモノが見える。
< 57 / 120 >

この作品をシェア

pagetop