龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
消してこの夜

放課後、わたしは鞄を持って校長室のドアをノックした。

「失礼します」

そっとドアを開ける。


「入りなさい」

校長の――司先生の声がした。


中に入ると、美月がもう来ていた。

圭吾さんはわたしを見ると笑顔になって、声を出さずに口だけを動かした。


――おいで


真っすぐ圭吾さんの前に行くと、ギュッと抱きしめられた。


「圭吾、教育現場だぞ」

司先生が文句を言った。


「堅いこと言うなよ。自分は教え子と結婚したくせに」


「付き合い出したのは卒業後だ」


「ご立派!」

圭吾さんはわたしから鞄を取り上げると、これみよがしに肩を抱いて頬にキスした。

「知ってるだろ? 僕は気が短いんだよ」


「困った奴だな」

司先生が笑いながら言ったので、わたしはホッとした。

もうこの二人のケンカは見たくない。

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