龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】

わたしは玄関から入ると、台所に向かった。


悪いわね圭吾さん、女子高生はすぐにお腹がすくのよ。


「ただいまぁ」

そう言いながら台所に入って行くと、お手伝いさんたちが『お帰りなさいませ』と笑顔で言ってくれる。

ここの家最高!

いつだって誰かが『お帰り』って、家にいてくれるんだもの。


「お腹すいたの。何かなぁい?」


「ありますよ」


お手伝いさんたちがクスクス笑う。

何だろ?


「先に手を洗って下さいな」


流しで手を洗って、配膳用のテーブルの下から背もたれのない椅子を引っ張り出して座った。

この家の台所ってやたらとだだっ広い。

冠婚葬祭を全部自宅でやった昔の名残らしい。


「どうぞ」


わたしの目の前に、湯気のたったホカホカの肉まんが置かれた。


「キャー、おいしそう!」


遠慮なくかぶりつく。

うわ~ ホントおいしいわ

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