龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
「一般の道もあるんだろうが、ほぼ獣道だろうな」

圭吾さんが言った。


「要に調べさせよう。あいつなら、嗅ぎ回っているのを見つかっても言い訳がきく」

と、司先生が言う。

要さんは先生のすぐ下の弟で、警察官だ。


「そうだな。僕はスタッフから研究所に見学の申し入れをさせるよ。日時が決まったら知らせる」


「わたしは何をすればいいんですか?」

美月が期待に満ちた声できく。


「君にはあの赤ちゃん龍の世話をしっかり頼むよ」

司先生が優しく言った。


「任せて下さい。頑張ります!」


ついでにその口を少し閉じていてくれれば、もっといいわ


わたしの独り言だったのに、すぐ横にいた圭吾さんには聞こえたようで、プッと吹き出した。


「何ですか?」

美月が怪訝そうにこっちを見た。


圭吾さんは咳ばらいをしてから

「いや、喉の調子がちょっとね」

って、ごまかした。

< 61 / 120 >

この作品をシェア

pagetop