龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
「羽竜?」


声をかけられて、圭吾さんとわたしは振り返った。


げっ! また常盤さんなの?

今日は女性連れかぁ


「よくよく会うね」

圭吾さんは苛立ち一つ見せずに言った。

「東京に戻らなくていいのかい? お父上はもう発ったのだろう?」


「研究所の案件を任されてね、移転を模索しているところさ」


「なるほど」


常盤さんは、圭吾さんの腕にしがみついたままのわたしをジロジロと見た。


「今日も従妹を連れているのか」


「大切な娘(こ)だと言ったはずだ。そちらは妹さんか?」


「ああ。君が写真も見ないうちに断った縁談の相手だよ」


常盤さんの妹さんは軽く会釈した。

圭吾さんと同じくらいの年だろうか、おとなしそうな感じ。


圭吾さんも軽く目礼してから、

「僕の縁談が決まっていてよかったな」

って、常盤さんに言った。

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