龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】

それから二、三日して、圭吾さんは分家の巧さんと研究所の視察に出かけた。


お昼過ぎに出かけたって聞いていたのに、夜の八時になっても帰って来ない。


「圭吾さん、遅いなぁ……」


何度も時計を見ていると、伯母様が『いつもと反対ね』って言った。

「いつもは、圭吾が家中歩き回って『志鶴の帰りが遅い』ってぼやいているのに」


そうなの?


圭吾さんはそんな素振りをわたしには見せたことがない。


「志鶴ちゃんは、今までずっと一人暮らしのようなものだったから、あまり束縛したくないのでしょうね」


そっか……

今度寄り道する時は、絶対連絡入れよう

ん? 誰か玄関に行った?


「帰って来たっ!」

わたしは、バタバタと廊下を走って玄関まで行った。


「騒々しいですよ、志鶴様」

玄関で出迎えていた和子さんにお小言を言われたけど、わたしは圭吾さんに飛びついた。


「お帰りなさい!」

「ああ、ただいま」


圭吾さんがわたしをギュッと抱きしめた。


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