龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
「すっかり奥様だね」

巧さんが言う。


「ばあやがしっかり躾けているようだからね。でも、まだまだ幼くて――ほら志鶴、むくれていないで座りなさい」


子供っぽいって言われたくらいで、むくれたりしないわよ

まぁ、ちょっとはムッとしたかな


わたしが素直に圭吾さんの横に座ると、巧さんはうなった。


「どうやったら、こんな従順になるわけ?」

「可愛がって、大切にすればいいんじゃないか?」

「俺はダメだ。近寄らせてももらえない」


それって美幸のこと?

そう思ったけど黙っていた。


「まあ、気長にやるんだね」

圭吾さんは同情するように言った。

「ところで、お前、今日のあの場所をどう思った?」


「見学させてもらった場所はごく普通のバイオ研究所だね。怪しいのは、ほら気圧調整ルームの向こうさ。一見、行き止まりのようだったけど、外から見た時はもっと建物に奥行きがある」


巧さんの言葉に圭吾さんがうなずく。


「ドアロックの解除はできそうだったな」


「無理にやれば警報がなるぞ。データ解析用のソフトは忍び込ませてきたから、あとはうちの悟にやらせよう」

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