龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
襖を開けて和子さんが入って来た。


「これでございますか?」


わたしはうなずいた。


和子さんはハサミを手に取ると、わたしに向かって静かに声をかけた。


「志鶴様、ここでお待ちになるおつもりですか?」

「ええ」

「帰ってらしたらお知らせしますよ。お部屋にお戻りになられては?」

「ここにいるわ。圭吾さんが待っていてって言ったの」

「かしこまりました」


和子さんは頭を下げて部屋を出て行った。


一人ぼっちになると、部屋の静けさが心に刺さる。


本当は行かないでって言いたかった。

和子さんにも

圭吾さんにも

海外勤務になった親父にも

そして、亡くなってしまったママにも


大丈夫

圭吾さんは必ず帰って来る。

明日はクリスマスツリーを探しに行くって約束したもの。

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