龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
自分でも馬鹿げてると思うくらい待った。


こんなに待ったのは、子供の頃にサンタクロースを待って以来。


あの夜

サンタクロースは来なかった。

ママを返してって願いは叶わなかった。


一番大切な願いが叶わないなら、他の願いが何になるの?


わたしは願うことをやめ、

待つことをやめた。


時間が経つに連れ、不安が募る。


圭吾さん、早く帰って来て


カタッと微かな物音がして、部屋の隅がキラキラと光った。

壁が布のようにグニャっと歪んで、そこから人が出て来た。


巧さん、悟くん、大輔くん――圭吾さんは?


「しづ姫、ただいま。データ消去は完了したよ」

悟くんが笑顔で言った。


わたしは混乱して、悟くんを見た。

「圭吾さんは?」

怖くて声が震えた。

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