龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
「そうでございますか? 圭吾様に真っ直ぐお部屋に行くように言われたのではありませんの?」


あ……知ってた?


「食べ終わったらお部屋にいるようにとの圭吾様からの伝言です」


へっ?


お手伝いさん達がどっと笑った。


「その肉まんは、圭吾様が志鶴様のためにお取り寄せになった物ですよ。帰ってらしたらお出しするようにと」


そうなの?


「『たぶん真っ先に台所に来るから』とおっしゃって」


あー 全部お見通し?

悔しいけど、圭吾さんって、いつもわたしより一枚上手なんだから。


「圭吾さんったら、それなら最初っからそう言ってくれればいいのに……」


わたしはブツブツ言いながら肉まんの残りをぱくついた。


「もう一つ召し上がります?」


和子さんまでニヤニヤ笑いを噛み殺してる。


「もらうわ」


わたしはやけ気味に言った。

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