龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
クリスマスまでの準備
1
悟くんは、わたしの前に座った。
「ちょっとだけ怪我をして、病院へ行った。司兄貴が付いてるから大丈夫だよ」
「に、に、入院する?」
「しないよ。帰りに怪我をしたまま龍道を通ったから傷口が開いたんだ。二、三針縫って、タクシーに乗って帰って来るよ」
うなだれていた大輔くんが、悟くんの横に座ってわたしに頭を下げた。
「ごめんなさい。俺が悪いんだ」
「どうして?」
「そいつがドジ踏んで、シャッターに挟まれそうになったんだよ」
巧さんが険しい口調で言った。
「圭吾はそいつを庇ったんだ」
「俺……本当は司にぃに来ちゃダメだって言われてたんだ。でも、悟にぃまで行くのに俺が行けないのが悔しくて、圭吾に無理矢理頼み込んで連れて行ってもらったんだ」
「ったく! 年が近いって言ったって、悟とお前じゃ力に差がありすぎだろ」
大輔くんは鼻をグスグスさせながら、うつむいた。膝の上の両手が微かに震えている。
落ち着きなさい、志鶴
あんたは三田志郎の娘でしょ?
ジャーナリストの娘が、何かあったからって、いちいちうろたえちゃダメ
「ちょっとだけ怪我をして、病院へ行った。司兄貴が付いてるから大丈夫だよ」
「に、に、入院する?」
「しないよ。帰りに怪我をしたまま龍道を通ったから傷口が開いたんだ。二、三針縫って、タクシーに乗って帰って来るよ」
うなだれていた大輔くんが、悟くんの横に座ってわたしに頭を下げた。
「ごめんなさい。俺が悪いんだ」
「どうして?」
「そいつがドジ踏んで、シャッターに挟まれそうになったんだよ」
巧さんが険しい口調で言った。
「圭吾はそいつを庇ったんだ」
「俺……本当は司にぃに来ちゃダメだって言われてたんだ。でも、悟にぃまで行くのに俺が行けないのが悔しくて、圭吾に無理矢理頼み込んで連れて行ってもらったんだ」
「ったく! 年が近いって言ったって、悟とお前じゃ力に差がありすぎだろ」
大輔くんは鼻をグスグスさせながら、うつむいた。膝の上の両手が微かに震えている。
落ち着きなさい、志鶴
あんたは三田志郎の娘でしょ?
ジャーナリストの娘が、何かあったからって、いちいちうろたえちゃダメ