龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
「僕は羽竜一の器用貧乏なのさ」
悟くんはカップにコーヒーの粉を入れながら言った。
「能力の種類は誰よりも多いし、強さも兄弟で一番。ただし意欲に欠ける。今まで一族のために役立とうなんて思った事もない。だから大輔は僕を軽く見る。僕に出来るなら、自分だって出来ると思ったんだろう。許してやって」
「わたしは、許すとか許さないとか言える立場じゃないわ」
わたしがそう言うと、和子さんと悟くんは顔を見合わせた。
「そろそろ自分の立場に慣れた方がいいよ」
悟くんが言った。
「結婚すれば、羽竜一族で圭吾の次に発言力があるのは君ってことになる」
そうなの?
「ましてや君は、圭吾に対する影響力が大きい――少なくとも一族のみんなはそう思っている」
「いやね。買い被りすぎよ」
わたしもミルクとお砂糖をトレイの上に並べた。
「悟くんだって言っていたじゃない。わたしはすぐ圭吾さんに騙されるって」
「そうだね」
悟くんは微笑んだ。
「それでも圭吾が一番に耳を傾けるのは君の意見だよ」
悟くんはカップにコーヒーの粉を入れながら言った。
「能力の種類は誰よりも多いし、強さも兄弟で一番。ただし意欲に欠ける。今まで一族のために役立とうなんて思った事もない。だから大輔は僕を軽く見る。僕に出来るなら、自分だって出来ると思ったんだろう。許してやって」
「わたしは、許すとか許さないとか言える立場じゃないわ」
わたしがそう言うと、和子さんと悟くんは顔を見合わせた。
「そろそろ自分の立場に慣れた方がいいよ」
悟くんが言った。
「結婚すれば、羽竜一族で圭吾の次に発言力があるのは君ってことになる」
そうなの?
「ましてや君は、圭吾に対する影響力が大きい――少なくとも一族のみんなはそう思っている」
「いやね。買い被りすぎよ」
わたしもミルクとお砂糖をトレイの上に並べた。
「悟くんだって言っていたじゃない。わたしはすぐ圭吾さんに騙されるって」
「そうだね」
悟くんは微笑んだ。
「それでも圭吾が一番に耳を傾けるのは君の意見だよ」