龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
「きっとまだお休みですよ」


だから起こすんじゃないの


「圭吾さんが起こしていいって言ったもの」

わたしはニッコリとして言った。


お手伝いさん達がクスクス笑う。


「まったく……圭吾様ときたら」

和子さんは呆れたように頭を振った。

「それに、わたくしもどうかしているのでございましょうね。入る時はお静かに。その方がびっくりしますよ」


わたしは驚いて瞬きした。

みんなニコニコしている。

いつも厳しい和子さんが、茶目っ気たっぷりに微笑んだ。


わたしは小さな子供に戻ったような気分で、悟くん達が泊まった部屋の前まで行った。

和子さんの忠告通り、そおっと襖を開ける。

悟くんと大輔くんは、ぐっすり眠っていた。


悟くんは横向きで

大輔くんは頭から布団を被って


何だか修学旅行みたい


わたしは二人の間に『おっはよう!』と言いながらダイブした。

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