愛のない世界なんてない
学校に着いた。
「裕次…裕次…」
授業中を気にせず走り回る。
どうしても早く伝えたい。
「すいません!」
裕次のクラスを訪れる。
「ちょっと裕次を…呼んでください…」
先生にそう頼んだ。
息が切れている。
「な…!?えぇ?」
裕次は先生が呼ぶのを待てず教室を出た。
「何…」
あきらかに動揺している。
「いいことがあったわよ!」
「いいことが?」
「実はね、あのコップ咲ちゃんからもらったものじゃないの。あれは美知子さんので美知子さんが咲ちゃんと同じコップ持ってるから裕次がもらったものって勘違いしてるのよ。あの割ったコップは美知子さんのだったのよ」