愛のない世界なんてない

私はまた美知子さんちに戻った…





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「咲…」
裕次は咲を呼んだ。

「…何?」

「屋上来て…」
今にもにやけそうだ。

「やだ」

「来い」

「いやだ」

「来いよ」

「やだ…っ」

裕次は無理やり咲の腕を引っ張る。
そして屋上まで連れて行く。

「ねぇ、いやだっつってんじゃん…」
そんなお言葉は無視。








「話がある」

屋上に来た。
ここからの見下ろしがすがすがしい。


「あのコップ…俺のお母さんのだった…咲のと同じだったらしくて…お母さんは咲のコップの柄とか知ってて勘違いで俺が咲にもらったやつのだと思ってるんだよ」

「……嘘だ」


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