愛のない世界なんてない
「オオカミになったらぶっ殺す」
私は圭の腹を蹴った。
「痛…っじゃあじゃあ王子様っ」
「王子様とか何すんだよ!!」
「優しくするのっ」
圭の顔は真っ青だ。
「同じ!」
私は怒鳴る。
「なんで」
キュン。
「…は?」
キュンとしちゃった?
あの寂しそうな目だけで?
嘘。
キュンしちゃダメ…。
私の好きな人は尋斗だから。
「本っ当にやだから!オオカミになったら狩るよ!?」
「ぷぅ」
圭は頬を膨らませた。
「しかも私万引き女だよ…」
「関係ないよ」
圭は私の腕を掴んだ。
「こんなドキドキしてるのに」
私の手のひらは圭の胸にあった。