愛のない世界なんてない
「おはよう」
優ちゃんは咲ちゃんの胸ぐらを掴んだ。
「…………おは……よ……」
まるで優ちゃんを恐れるかのように顔が青ざめた。
「あんたさぁ……………家出とか言って……認めないって訳じゃないけど、まだ中3でしょ?」
暗黒に包まれる姉。
今にも死にそうなイメージの妹。
正義の味方と悪役だ。
「裕次と一緒にいたいから………」
「あんたねぇ……私なんか家出してまで彼氏になんか会わないわよ」
「か、彼氏いないんでしょ?だったら一君とかをおすすめ………」
パァンッ
綺麗なさばきでビンタ。
ここで、「あぁれぇ…お姉さまお許しあれぇぇぇ」という画が似合う。
「あんた今日すぐ帰って来なさい」
そう言ってすぐ部屋を出て私をマジマジ見た。
「……………ケガしてんの?大声出してごめん」
はい、めっちゃ痛みました。
でも心で言うとバレそうだし。
「何歳?」
「23…………」
「ととと年上!?」
優ちゃんはビックリしていた。
「タメ口すいません………」
「いや、タメ口のほうが喋りやすいし……いいですよ全然……」
営業スマイル営業スマイル……(笑)
「名前は?」
「華芽」
「私優。階段降りるなら手伝おうか?」
「いや全然大丈夫」