愛のない世界なんてない

「見てください!!朱音ちゃんですよ♪」
また雛は話を聞かず、朱音ちゃんという子の写真をいきなり見せてきた。

その子はクリクリした目にセミロングの子だった。

「空可愛いでしょ?」
空君かよ。

「可愛いわね、そうね」

「棒読みしないでくださいよぅ」

「…………帰る!!」
私は椅子から立ち上がった。

「あ、はい。じゃあまた!!」
こいつは止めないのか!!

雛の馬鹿さに呆れた。


雛の家から出た。
空君は最後まで私を見送ってくれた。

「これから………暇」
最近万引きする事もなく、ただ手足が痛むだけ。
松葉杖を使わなきゃダメ。

この状態で万引きなんてしたら

バレるに違いない。

「はぁ……………」
私が街をトボトボ歩いてると、あるパトカーが私の方向に飛ばしてきた。


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