愛のない世界なんてない
それから一週間経ったある日。
誰かから電話が来た。
「………………もしもし」
「もしもし?華芽?」
声の主は裕次だった。
「裕次?」
「うん、そうだよ」
「どうしたの?」
裕次は少し黙った。
「…………………圭に病気があるんだろ?」
「……………うん………」
「詳しい事知ってる?」
「特には………分からない」
「………………そうか。お前らおめでとう」
知ってたんだ、付き合ってること。
「ありがとう」
「……うん………あのさ、また今度電話する。じゃあまた」
そう言って電話を切った。
「はぁ……………」
もうここずっと最近溜め息ばかり。
「もしも死んじゃう病気だったら……………どうしよう…………」
その事が現実になろうとしていた。