愛のない世界なんてない
「いいんですかぁ!?」
私は少し身を乗り出した。
「いいですよぉ!」
まったく圭のお母様は優しすぎだよ。
でも圭は微妙に固いしね…。
「えー、じゃあどこで寝るの?」
圭が言った。
「きっとリビングのソファじゃ寒いわよね。どうしましょ?」
お母様は悩んだ。
私はドキドキしてたまらなかった。
「……」
しばらく沈黙が続く時、私は汗をダクダクかいていた。
圭は眉を潜める。
お母様は手のひらを頬にあて机に肘をつきながら考えていた。
「仕方ないけど…」
お母様は口を開いた。
「仕方ないけどっていうか何もない小部屋があるのよね。そこは寒くもなさそうだし、いいかしら?布団はあるしね」
お母様は贅沢な事を言ってくれた。
「いいのですか…?」
「いいに決まってるじゃない!」

私の体中の汗が肌に吸収されてパアッとなる。
「じゃあ…お言葉に甘えて…!」
「ふふふ」
お母様は圭みたいに目を細めながら綺麗に笑った。
「なんで泊まるんだよ~」
圭はまったくのように今頃言った。
「いいじゃない、泊まりたいし私も」
「はぁぁ~」
圭が大きく溜め息をついた。
「じゃ部屋まで行きましょ」
「はいっ」
私は言って、お母様に着いていった。
圭はそれに着いていくかと思うと自分の部屋に入っていった。
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