愛のない世界なんてない

それまで扉が何個もあった。
長い廊下もあるし広いし。
｢ここよ｣
お母様が扉を開く。
その部屋はビックリするほど広かった。
｢広いっ｣
｢そうかしら?｣
お母様はまた笑った。
｢あとね｣
お母様は言葉を続けた。
｢圭は、あなたの事気に入ってるらしいのよ｣
｢え!?｣
｢圭の顔にでてるわ｣
｢まさかぁ～｣
私はケラケラ笑いながらお母様の背中を叩いた。
｢ふふふ。もう10時だし、寝ましょうか?｣
｢そうですね｣
｢それじゃお休み｣
と言ってお母様は廊下の途中にある階段をスリッパの音をパタパタとたて下りた。
それで私は部屋に入った。
一応床暖房もあった。
ベッドがでかかった。
だから私は一気にベッドにバフッとおおい被さった。
｢ふっかふかあ～｣
私は気持ちよく寝そうになった。
そこで思い出したのが圭だった。
まだ圭にお休みを言ってなかったから、部屋をでて、圭の部屋まで行くことにした。
とにかく微妙に覚えてる。
圭のドアの前まで来たらノックを二回した。


トン、ﾄﾝ
と。
｢誰?｣
壁一枚の向こうから可愛らしい少し低い声がする。
｢華芽｣
｢入っていーよー｣
ガチャッと静かに開けた。
｢あの……言うことそんなないけどお休み…｣