愛のない世界なんてない
「まじでいいの?!」
男は店のドアに挟まりながらも言った。
「いいって言ってんじゃん。ほら来て」
私は男を案内させた。
すると男は言った。
「なあなあ、名前なんてゆーの?」
「…お前は?」
質問に質問を被せた。
「俺は草野圭!」
「へえ」
私はそのまま前を向いて歩く。
「君は?」
「東雲華芽」
私が言ったら圭?は笑った。
「はははははっ!確かに華子っぽい顔!」
うざ。
「しかもトイレの華子じゃん!」
馬鹿。聞き間違いすんなっ
「でも髪型、ボブだしでも顔はいかにもクールだし」
アホ。
「うるさいよ」
私は少し怒った。
だってそんな可愛くないし。
「てか自分ち圏外悪いとか言ってたけどそんな田舎なの?ここ大都会なのに」
超不思議に話していた。
「あれ、嘘に決まってんじゃん」
圭は驚いた。
「そうなのかよ」
「うん」
私は一度も全然ガキの圭の顔を見ずに喋っていた。