愛のない世界なんてない
「そんなこと…ないよ!」
わざと明るく振る舞った。
「なんかあるんなら私に言ってよ~」
たかがコップを割ってしまっただけなのに…。
「なんにもないよ~」
「祐次の事?」
さすが咲ちゃん。
「話してもいいかなぁ」
「うん」
咲ちゃんと私は椅子に向かい合わせで座った。
「…………あのね」
「うん」
「コップ………割っちゃって…」
華芽がそう言うと、咲ちゃんはキョトンとした。
たかがコップだ、と思ったんだろう。
「コップで元気なくしたの!?」
呆れるんじゃなくてビックリしてた。
「ただのコップの事じゃなくて…」
「え…」