潮騒

オッドアイ

街はいつの間にかクリスマスの色に染まっていて、別にカレシなんて欲しいと思わないあたしでさえ、ちょっと嫌な気分になる。


ましてや目の前で今日もケーキを頬張っている美雪なんて、先ほどから愚痴ばかりだ。


あたしはそれを適当に聞き流しながら、面倒なので携帯をいじる。



「ちょっと、ルカさん聞いてます?!」


「聞いてるっつーの。」


「あの店員、メンズ物のアクセ買っただけでクリスマスプレゼントですかー、って、余計なお世話なんだから!」


美雪はまるで酔っ払った客みたいだと、あたしは思った。


とりあえず、もうちょっと静かにしてほしい。


まぁ、コイツとの日常にも、随分と慣れてしまった自分がいるのだが。



「あー、独り身はキツイ!」


で、レンと同じことを言いやがる。


うるさいなぁ、なんて思っていた時、あたしの手の中にあった携帯が、着信のメロディーを響かせた。


噂をすればなんとやら、そこには“レン”と表示されている。



「ほいほーい。」


『ルカちん、今どこー?』


電話越しに聞こえた、ふざけた口調。


彼はどんなに辛い夜を過ごそうとも、酒が抜ければ元通りだ。


それが良いことなのかどうなのかは、あたしにもわからないのだけど。



「今は駅前通りにあるケーキ屋だけど、どしたの?」


『じゃあ、近くじゃん!
この前借りてたDVD、ついでだからそっちに持ってくわ!』

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