潮騒
スズメとさよならをしてから、三度目の朝を迎えたある日のこと。
今日はとても外の世界が騒がしく思えた。
何かあったのだろうか。
なんて思ってはみたものの、いつもそれは関知するところじゃなかったから。
小窓から漏れる春の陽気も手伝い、うたた寝をしてしまった。
と、その時。
「大丈夫、大丈夫。
今日はお父さんもおばあちゃんも、親戚の人が倒れたからって慌てて病院に行ったし、きっと当分帰ってこないから。」
キィッ、と突然に開いた重い扉。
顔を覗かせたのは、ヨンハと、そして同い年くらいの数人だった。
家族と呼ばれるもの以外を見たのは初めてで、驚いたけど、嬉しかった。
友達に、なりたかった。
「ねぇ、ここから出なよ、お兄ちゃん。」
「……え?」
「一度くらい、外の世界に出てみたいでしょ?」
屈託なく、ヨンハは笑って言った。
でも良いのだろうかと少し戸惑っているうちに、今度は手を引かれ、そこで見た世界のまばゆさに、目がくらんでしまいそうだった。
空が大きくて、世界は無数に色が溢れていて。
「なーんてね。」
振り返ると、もうそこにヨンハはいなかった。
いや、正確に言えば、今までヨンハの顔をして笑っていた人が、ひどく冷たく吐き捨てたのだ。
「醜い獣が檻から出ちゃいましたよー、みたいな?」
今日はとても外の世界が騒がしく思えた。
何かあったのだろうか。
なんて思ってはみたものの、いつもそれは関知するところじゃなかったから。
小窓から漏れる春の陽気も手伝い、うたた寝をしてしまった。
と、その時。
「大丈夫、大丈夫。
今日はお父さんもおばあちゃんも、親戚の人が倒れたからって慌てて病院に行ったし、きっと当分帰ってこないから。」
キィッ、と突然に開いた重い扉。
顔を覗かせたのは、ヨンハと、そして同い年くらいの数人だった。
家族と呼ばれるもの以外を見たのは初めてで、驚いたけど、嬉しかった。
友達に、なりたかった。
「ねぇ、ここから出なよ、お兄ちゃん。」
「……え?」
「一度くらい、外の世界に出てみたいでしょ?」
屈託なく、ヨンハは笑って言った。
でも良いのだろうかと少し戸惑っているうちに、今度は手を引かれ、そこで見た世界のまばゆさに、目がくらんでしまいそうだった。
空が大きくて、世界は無数に色が溢れていて。
「なーんてね。」
振り返ると、もうそこにヨンハはいなかった。
いや、正確に言えば、今までヨンハの顔をして笑っていた人が、ひどく冷たく吐き捨てたのだ。
「醜い獣が檻から出ちゃいましたよー、みたいな?」