潮騒
ギャハハハ、と彼らは笑う。


言ってる意味がまるでわからなくて、けれど向けられた視線に囲まれる。



「すげぇ、ホントに目の色が変だ!」


「おい、何か喋ってみろよ!」


「コイツ、図鑑に載ってねぇのかなぁ?」


口々にそう言いながら、四方から小突かれた。


思わず助けを求めようとヨンハの方を見たはずなのに、なのに、



「そいつ気持ち悪いでしょ?
もうゲームも飽きちゃったし、お父さんとかいない間にいじめちゃっても良いからさ。」


彼らはそれを聞き、飛び上がるように喜んでいた。


ヨンハは目を細めて首を傾け、腕を組んで後方から鼻歌なんかを混じらせる。


どうしてだろう、どうして助けてくれないのだろう。



「…ヨン、ハ…」


呟きは、けれども容易く遮られた。



「お前に名前なんか呼ばれたくないんだよ!」


「……え?」


「双子だからとかが、何?
人間じゃないお前となんて初めから一緒にされたくないから!」


それでもまだ疑うことを知らなかった。


ヨンハがおかしくなっちゃったんだ、って思いたかったのに。



「ちょっと優しくしてやったらすぐ喜んだような顔しちゃって、バッカみたい。」





ねぇ、あなたは誰ですか?






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