潮騒
神社から駐車場に戻るまでには少し距離があり、その参拝路にはたくさんの数の出店がひしめき合って並んでいた。


あたし達はそこで、適当にたこ焼きや綿菓子なんかを買ってみたり。


それから裏手に喫煙スペースを発見したので、とりあえず一服しようとした時、



「あー!」


目の前には、こちらを指差して叫んでいる男女の姿。


嘘だと思いたかった。


どうして地元じゃないこんな場所で、レンと美雪に遭遇してしまうのか。



「ちょっとルカさん、すごい偶然じゃないですか!」


「お前何やってんだよー!」


嬉しそうなふたりの所為で悪目立ちしてしまい、あたしはいたたまれずに口元を引き攣らせた。


どうしたものかと思っていると、



「ここ電波悪ぃから、俺ちょっと向こうで電話してくるわ。」


マサキはそれだけ言ってすぐにその場から立ち去ってしまう。


気を使ってくれたのか、どうなのか。


レンはそんな彼の後ろ姿を一瞥し、



「あれってまさか、ルカのカレシ?」


「別にそんなんじゃないし。」


「でも一緒に来たんだろ?」


「だったら何?」


でも彼は、明確に言おうとはしなかった。


カレシとかカレシじゃないとか、じゃああんたらはどうなんだよ、と言いたくなる。

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